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タイトル:   木喰仏を訪ねて中越へ      淺見孝男
木喰仏を訪ねて中越へ:
2018年NHK番組日曜美術館で木喰上人と作品木喰仏が紹介されました。木彫がもつ素朴で温かみ、そして柔和な表情が印象的でした。木喰仏の存在を柳宗悦氏は1923年/大正12年に山梨県甲府市を訪ねた際、知ったと述べています。新潟の文化を友人、知人に知ってもらえたらという想から3M中央線友の会メンバーに旅を発案、仲間を募りました。メンバーは八十路を歩む10人(男性8人、女性2名)。2019.5.15&16.1泊2日。

移動は新幹線と宿泊先のマイクロバス。1日目:東京駅→浦佐下車晋光寺・毘沙門堂→西福寺(魚沼郡)→寶生寺(長岡)→弥彦神社→富士屋(岩室温泉)。2日目:海を望むドライブ寺泊経由→トキ見て/繁殖施設→朝日酒造見学&昼食→長岡駅→東京へ。

訪問先では案内と解説をして頂きました。新潟には99社の日本酒醸造元があります。久保田等の銘柄で知られる朝日酒造の工場見学。新潟県産の酒造好適米“五百万石”を麹米に、また軟水使用等の醸造工程、利き酒の機会も、西福寺では東洋のミケランジェロと称される石川雲蝶の天井絵、“トキ見て”トキの繁殖飼養、寳生寺では寺に伝わる木喰上人の人となりと製作した32体の仏像の解説をして頂きました。

評価:多彩な訪問先でした。十分な滞在時間とマイクロバスによる移動が身体負荷を軽減。ゆとりある時間配分でした。宿泊先・富士屋の温泉、食事、接待は満足度も高く経費負担等も相応の域でした。再度の訪問を志向する方もいました。家族、知人を連れ添って中越の旅をお薦めする処です。

あとがき:
柳宗悦氏は著作で“直観が美の認識の本質的な要素だ”と述べています。木喰上人の作品を世に紹介した端緒が木彫・地蔵菩薩像/日本民芸館所蔵・後年、微笑仏と云われる所以と思われます。転載絵図―1。子安観音/寳生寺所蔵・転載絵図―2.
児童虐待が度々、報道されます。東京都・児童虐待対応件数16967件、10年間で約5倍、虐待での死亡数1108人/15年間(警察庁)。眼を背けたくなるこれらの事件報道です。
木喰仏の鑑賞からこれらを皆無にしなければという想いに走らせる力があります。私が入社した1963年/56年前、企業では通常、通勤交通費は額の範囲はありましたが会社支給でした。住友3M社は支給なし。そこでJR四谷駅から赤坂表町迄はタクシーの相乗りで対応。リーダーが大槻規正さんでした。宿泊先の宿ではアルコール費用を負担して頂きご馳走になりました。10月3日に85歳で旅立たれました。中越の旅を脳裡に描いての旅立ちであったのではないかとご冥福を祈る想いです。             淺見孝男
 2019.11.3

問い合わせ先&参考資料:富士屋(0256-82-4151,朝日酒造☎0258-92-3181,魚沼観光協会☎025-792-7300,微笑仏の誘い/長岡地域振興局☎0258-38-2507、トキ見て☎0258-75-3160,寶生寺☎0258-46-4768
木喰上人・著・柳宗悦/講談社文芸文庫、木喰・著・広井忠男/日本海企画社.